税務調査では、申告漏れや過少申告となる項目「売上」がまず始めに調査されます。
売上除外や計上にまつわるミスや間違い、不正が多いことからです。
1 売上の計上基準に誤りはないか
2 売上の計上漏れがないか
3 売上が翌期に繰延べられていないか
4 値引き・返品・割戻しなどの処理にミスはないか
5 単発、現金取引に誤りはないか
1 現金での売上・仕入の多い会社
2 売上が大幅に減少した会社
3 好況業種の割に申告所得が少ない会社
4 支店や営業所の多い会社
5 代金回収が銀行などを通して行われていた会社
税務調査では経営者から会社、もしくは会社から経営者の金銭の貸付けがあると、必ずといっていいほど注目されます。
経営者から会社から金銭貸付けを受けている場合は次の3点についてチェックされます。
なお、会社と会社の取締役との取引は、商法で自己取引となるため、取締役会の決議が必要となります。
経営者と会社との金銭取引についての事前対策としては、以下の通りです。
中小企業の多くは同族会社ですが、経営者の家族が役員になっている場合は注意が必要です。
役員報酬は、適正な金額については損金算入、不相当に高い場合は損金不算入とされます。
また、役員の賞与は損金不算入です。
調査ではこうした経営者の妻や子供に対しての給与や賞与を問題にします。
役員報酬などが適正かどうかは実質基準と形式基準があり、概ね次のようになっています。
職務の内容
代表者、取締役、監査役か
職務従事の程度
常勤、非常勤か
経験年数
会社の収益の状況
従業員に対する
給与の支払い状況
同業種・同規模法人の
役員報酬の支払い状況
定款の規定や株主総会の決議によって定められた報酬の支給限度額を超える部分は、損金とされないという基準
棚卸資産の棚卸については、よく調査の争点となります。
なぜなら、棚卸によって売上原価が確定し、利益が算出されるからで、棚卸に漏れがあると、それだけ税額が少なくなるからです。
中小企業は実地棚折をないがしろにしがちですが、利益を確定するにも最低年1回は実地棚卸をして商品管理を徹底することです。
その際に、廃棄品や売残品の処理をしておくことも大切です。
棚卸資産のチェックポイントは次の通りです。
交際費は、範囲が広いうえにこれといった明確な基準がないため支出した経費が交際費になるのかならないのかで問題になりがちです。
一般的には、交際費を支出した場合、資本金が1億円以下の会社では年800万円を超える金額については全額が損金算入されません。
1億円超の会社は、100%課税となります。
また、経費については、損金算入には必ず証拠資料が必要となります。
証拠がないと交際費である、ないの主張をすることもできませんし、社用・私用の区別もつきません。
場合によってはすべて損金に算入されないケースもあります。
費用の内容がどうなっているかは、調査官は次のように調べることになります。
費用の支払方法 | 領収書、請求書、仕訳伝票、出金伝票などの備考欄の記載内容 |
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費用を支払った先 | 請求書・領収書の内容 |
費用をかけた相手先 | 得意先か、従業員か、一般の消費者か |
費用をかけた理由 | 出費した動機、目的は何か |
18年の税制改正で業績好調により役員報酬を期中増額しても損金の額に算入されなくなりました。
業績悪化による役員報酬の減額についてはいつでも構いません。
また、役員退職金については、役員退職給与規定で定められた金額の範囲内が支払った日の属する事業年度の損金となります。(ただし、不相当に高額な部分は損金の額に参入されません。)
創業社長が退職の場合、役員から外れても実質で経営に参画してるかどうかで見られますので注意が必要です。
使途を明らかにできない支出は必ず税務調査では指摘されることになります。
当然ながら使途の分からないものは損金算入できません。
また、あらかじめ「交際費」として自主計上しておくと、調査を通りやすいといわれていますが、交際費などで処理をしても使途不明が許されるものではありません。